「バー山」は、昭和10年から銀座の地でバーテンダー一筋、日本のバーテンダーの草分け的存在で「ミスターバーデンダー」を受賞した小板橋幹生氏の店だ。
 幹生氏は長野県志賀村で生まれ、18歳で料理屋を経営する兄を慕って上京し、軍隊生活の後、三原橋で喫茶店を始めたのを皮切りに、新橋、銀座で師にも付かずに独学で、バーマンとして生きてきた。闇市でウイスキーが手に入らなかったころ、幾通りもの色を薄めた醤油をリキュールやウイスキーに見立て練習した逸話もある。
 昭和53年「クラブ山」で支配人をやめて独立。この場所で「バー山」を開いた。
 場所はみゆき通りを泰明小学校に向かって進み、コリドー街のひとつ手前の路地を曲がる。まだ古き良き銀座の風情が残る路地を30メートルほど行ったところに東生園という中華屋がある。その手前のビルの階段を降りた左手だ。いわゆる酒場風のドアを開けると、8席ほどのカウンターと奥にテーブル席がある。ウイスキーのビンを電球にした独特の電灯がセピア色の光を放つ。ふと懐かしさを覚えるレトロな雰囲気の中に、フッと落ち着く空気を感じるのは、カウンター越しに、マスターパイプをくわえた幹生氏と娘さんの絵三子さんが迎えてくれる笑顔かもしれない。
 「水割りもカクテルだ」と言い切るマスターは、70年近くスタンダードカクテルだけを作り続けた職人だ。しかしここでは、まず「マティーニ」をすすめる。「マティーニ」は、ジンを拡散するベルモットの量が少ないほど辛口になる。その絶妙な混ざり具合を楽しむ。口の中でマッタリと溶ける芳醇な味わいは「バー山」ならではの絶妙な仕上がりになっている。他で飲んで来た客も飲み直しに訪れるのもうなずける。
 料金はウイスキー1,000円から、カクテルは1,500円から。おつまみは、チーズ、ピクルスの他に、山ごぼうのブランデー漬、大根のブランデー漬けなど各1,000円。飲み物とお通し1品(1,000円)付いて、サービス料10%だけの明瞭会計だ。
 「会話が楽しいのがバーテンダーだ」と語るマスター。酒がうまい、会話が楽しい、ホッとしていい顔で帰れる店。何度でも通いたい店だ。 
 



[店名]バー山
[カテゴリー]バー
[電話番号]03-3571-6007
[住所]中央区銀座6-2-7 銀座第13金井ビルB1F
[営業時間]月~金17:00-23:30
[定休日]土・日・祝
[予算]3,000円~
[席数](テーブル)7席 (カウンター)8席
[フロアレディ]なし
[カラオケ・生バンド]なし
[予約]不可 [カード]可能
[開業年]1978年4月

 


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